いつか猫になる日まで 新井素子 新装版¥514
読書
1980年に刊行された新井素子2冊目の本が、今回新装版として「コバルト文庫」から刊行されました。「いつか猫になる日まで
」コバルトよコバルト。
今はなき奇想天外社のSF新人賞佳作となった「あたしの中の・・・」から1年。立教大学の学生となった新井素子が上梓した書きおろし。だったと記憶している。
それが、イラストも新しくなってあとがきも新しく書いて再出版。本当に寡作の人で、2,3年に一度新作が読めればいいという状況でこの新装版は嬉しい。ストーリーも作風も、文体も若い若い素子さんだけれど、あの頃の自分をなんとなく思い出させる。「世の中」とか「神様」とか「運命」とかにに対してなんともいえない苛立ちを感じていた自分を。
小説家を夢見ていた自分も、その夢を打ち砕いた素子さんも40代になって「あの頃の未来」にたっている。自分のことを肯定する気持ちは強いけれど、あの頃の自分をいとおしく思う気持ちも十分にある。
そんなことをね、思い起こさせる文章でした。今の10代はこれを読んでどんな気持ちになるんでしょう。遠い昔に10代を送った私はそんな風に考えながら、ざっと読み返していたのでした。
でもさあ、新装版とはいえ前の「あとがき」も一緒に収録して欲しかったなあ。「あとがき」は素子さんの最高のご馳走なのに。

今はなき奇想天外社のSF新人賞佳作となった「あたしの中の・・・」から1年。立教大学の学生となった新井素子が上梓した書きおろし。だったと記憶している。
それが、イラストも新しくなってあとがきも新しく書いて再出版。本当に寡作の人で、2,3年に一度新作が読めればいいという状況でこの新装版は嬉しい。ストーリーも作風も、文体も若い若い素子さんだけれど、あの頃の自分をなんとなく思い出させる。「世の中」とか「神様」とか「運命」とかにに対してなんともいえない苛立ちを感じていた自分を。
小説家を夢見ていた自分も、その夢を打ち砕いた素子さんも40代になって「あの頃の未来」にたっている。自分のことを肯定する気持ちは強いけれど、あの頃の自分をいとおしく思う気持ちも十分にある。
そんなことをね、思い起こさせる文章でした。今の10代はこれを読んでどんな気持ちになるんでしょう。遠い昔に10代を送った私はそんな風に考えながら、ざっと読み返していたのでした。
でもさあ、新装版とはいえ前の「あとがき」も一緒に収録して欲しかったなあ。「あとがき」は素子さんの最高のご馳走なのに。