お盆休みの娯楽と教養 映画編

映画
08 /19 2013
お盆休みのちょうど真ん中が水曜日、レディースデイ。ってことで、お芝居に続いて2本立て!

朝一で見たのが「終戦のエンペラー」。

岡本嗣郎のノンフィクション「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」が原作の歴史サスペンス。進駐軍を率いて終戦直後の日本に降り立ったマッカーサー元帥から、太平洋戦争の責任者追究を命じられた男が衝撃の事実にたどり着く姿を息詰まるタッチで追う。監督に『ハンニバル・ライジング』のピーター・ウェーバー、出演に『メン・イン・ブラック』シリーズのトミー・リー・ジョーンズ、日本を代表する俳優西田敏行ら、国内外の実力派が結集。終戦をめぐる謎の数々に肉迫した物語に加え、日米の名優たちが見せる妙演も見ものだ。

天皇に戦争責任はあるのか、天皇を戦争犯罪人として裁くことは占領政策にとって、アメリカにとってどのような利益・不利益があるのか。10日間というリミットを与えられたボナー・フェラーズの葛藤とか意地とか、恋愛とか‥‥が、贅沢な役者さんたちで描かれていました。
「衝撃の事実」ってほどのことはない結論ですが、丁寧に誠実にフェラーズの行動と心理を追っていて、彼が「天皇は有罪ではない(無罪ではなく、あくまでも有罪ではない)」というレポートを提出することはちゃんと納得できます。そして、日本を占領統治するためには天皇を利用することがベストである、と日本人の心情というか精神構造というか、そういうのを利用する占領軍、マッカーサーの考え方も違和感なく描かれていました。
良心的な、誠実な作品だと思いました。


でもねえ。やっぱり、というかつまりはというか、アメリカ映画なんですよね。
フィクションである恋愛の部分で描かれるあれこれが「日本女性はそーゆーかっこしないと思うよ」とか、彼女の伯父である西田敏行演じる陸軍大将がフィリピンと沖縄に司令官として行っていて、終戦の時に生き残っている? …とか、ね。
いわゆるアメリカ人が思い描く「ヤマトナデシコ」「善き日本人」だなって、思ったんだわさ。製作者側にもちろん悪意はないし、文句を言いたいとかではないんだけれど、違和感‥‥があるんだよねぇ。「信奉」って言葉がキーワードっぽく出てくるんだけれど、そこいらへんも合わせて、私の中にある感覚とちょっと歯車が合わない感じがぬぐいきれなかった、かな。

良心的な映画だと思います。アメリカの人々からすると日本をひいきしすぎだって思われるくらい、善き日本人を描いてくれているんだと思います。というか、ボナー・フェラーズ准将が日本人のことをそう捉えていてくれたんでしょう。それでもやっぱり、なんだかちょっと座り心地が悪い瞬間があった映画でした。


午後から観たのは「少年H」。

作家・妹尾河童の自伝的小説で、上下巻あわせて340万部を突破するベストセラーを、「ホタル」「鉄道員(ぽっぽや)」の降旗康男監督が映画化。太平洋戦争下という時代に翻弄されながらも、勇気や信念を貫いて生きた家族の激動の20年間を描き、実生活でも夫婦の水谷豊と伊藤蘭が夫婦役で映画初共演を果たした。昭和初期の神戸。名前のイニシャルから「H(エッチ)」と呼ばれる少年・肇は、好奇心と正義感が強く、厳しい軍事統制下で誰もが口をつぐむ中でも、おかしなことには疑問を呈していく。Hはリベラルな父と博愛精神に溢れる母に見守られ成長し、やがて戦争が終わり15歳になると独り立ちを決意する。

原作を買っていました。でも‥‥読了してないまま(-_-;) ドラマになったのもちらっと見ただけで、ほんとすいませんって感じです。河童さんの文章は「河童が覗いたシリーズ」何冊かしか読んだことないんですぅ。


主演はHの父役の水谷豊ってことになってます。エンドロールでももちろんトップに出ます。奥様は、奥様の蘭ちゃん。いい夫婦、です。
でも、やっぱりこれはHの目から見た(そして、それを大人になって回想している)物語だから、主人公は妹尾肇:吉岡竜輝くんだと思うのです。最後15歳で看板屋で働き始めるところとかも含めて、あくまでもHの成長の中で起こったあれこれが書かれてるんですもの。

Hが小学校から(旧制)中学校まで、日米開戦直前から終戦後まで。妹尾家の人々と、その周りの人たち。腕のいい仕立て屋のお父さん、キリスト教の信者であるお母さん(もちろん、お父さんも子どもたちもちゃんと教会に行く信者です)。特高警察に捕まるうどん屋の兄ちゃん、徴兵を拒否して首をつるオトコ姉ちゃん、終戦後あっさり転向する軍事教官、そんな人たちの姿がHの目を通して描かれています。

当時を再現する映像や音楽、役者さんたちの佇まいなどがとても好印象でした。誠実な作品だと思いました。
子どもが見たことを元に描かれているのですから「それは当時としてはかなりまずいんじゃないか?」とか、そんなに燃えてる中でミシンは無理だろとか、特高に引っ張られてそんなに簡単に帰してはもらえんだろうとか、座り心地が悪い場面はありましたが、伝えたい思いがちゃんと届いた作品でした。


この夏劇場で見た3本が3本とも、第二次世界大戦を描いていました。「おもしろそうだな」って選んだのが、たまたまこの3本だったわけですが、68年目の夏にこれらの作品と出会ったことは、何かしらの意味があったのかなあとも思います。


秋には「謝罪の王様」「清州会議」「ゲキシネ シレンとラギ」なんかを見に行きたいです。
あ、キタキツネ物語も!

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