「中野のお父さん」北村薫 文藝春秋 1400円+税

読書
01 /05 2016
年が明けてから読み始めたんですが、もっと早く手をつけておくんだった! とちょっぴり後悔。だって、面白いし! 連作短編なので細切れに時間でも読めるし! なにより、北村薫だし!


中野のお父さん

最初は「出版界に秘められた“日常の謎”は解けるのか!?」っていう惹句に踊らされてワーキングものかと思ったのね。ミステリーとは思いもせず。出版界なのに「中野のお父さん」ってタイトルはなんだ?? とも思っていたし。
だからなんとなく放っておいたの。北村薫なのに! せっかく買ったのに!

で、1本目の「夢の風車」を読んで…
「なんだよ~、これならもっと早く読んどくんだった! お父さんは円紫師匠で、主人公は社会人になったあの女子大生「私」じゃないか!」
ってことですよ。
でも、良くも悪くも他人だった円紫師匠と私とは違って、この二人は親子。しかも…かなり素敵な「親子」。私は父親が死ぬまで(いや、死ぬ30分前まで…かな)父親と打ち解けてあれこれしたっていう記憶はないのだけれど(だって、父親ってうっとうしいでしょ? 嫌いじゃないけど、うっとうしい…そんな感じしない?)この二人はちゃんと親子、してる。
ある意味父親から見た理想、って感じでリアリティーに欠ける面はある。けれど、でもこうした幸せな、一般人から見るとあこがれの親子関係がある…あってほしいという思いはみんな――娘のいる男親は特に――持っているんじゃないかなあと思う。ほとんど絶滅危惧種だとは思うけれど、いないわけではない!





と思いたい。








日常のミステリー。人死にはない。そんな中にある小さな、そしてほんのり優しい気持ちになれる北村薫ミステリーがお好きな方は是非お読みください。
北村薫は読んだことないけれどという方でも、なんか勧善懲悪とか大きな声でお互いを糾弾するとかに疲れちゃっている方にはお勧めいたします。スカッ! とはしません。「ああ、そうだよね」って納得したり、面白がったりしながら、中野のお父さんと主人公(とお母さん)の関係に桃源郷のようなまぶしいものを感じてちょっぴり泣けたりする。そんな1冊です。


六の宮の姫君 (創元推理文庫)
「最終学年を迎えた〈私〉は、卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていくかたわら、出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、円紫師匠の教えを乞いつつ、浩瀚な書物を旅する〈私〉なりの探偵行が始まった。」

中野のお父さんの6~7年前って感じかな? こっちも十分に面白いです。若いけど、みんな。

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